フォーマル着物を着る時に重ね衿を付けます。
色を加えることによって、衿元が締まり着姿もゴージャスになり、よりフォーマル感がでます。
礼装の基本色は白です。
振袖には二色使い豪華な刺繍ものもあります。
重ね衿と比翼衿
現在は重ね衿(伊達衿)を着物の色やTOPに合わせて選ぶのが主流のようです。
- 重ね衿(伊達衿)を付ける着物・・・色留袖、訪問着、振袖、色無地、附下
- 比翼衿を付ける着物・・・黒留袖、振袖
小紋は柄や金彩銀彩と相談です。
最近では浴衣に付けることもあります。でも、非常に付けにくいです。半衿用テープが必要です。まい吉としてはあまりお勧めしません。暑いので衿元は涼しく!
ちなみに伊達衿は重ね衿の別称だそうです。比翼衿は代表的なものは黒留に付けられている白い衿です。黒留下に着る白の重ね着が衿だけ残ったものです。
写真は振袖の比翼衿です。
仕立てと同時に付けます。今はあまり比翼衿は付けないようですが、衿全体に均一な縫い目できれいに縫い付けてあります。さすがプロフェッショナル!
二色使いの重ね衿でこんなに印象が違う
二色使いの重ね衿なら何枚も着物を着ているように見えますね。
重ね衿の効果として、
- 着姿を華やかにする
- 格が上がる
- 同じ着物でも季節ごとの色で印象を変えることができる
- 重ね衿の色で着姿全体を引き締める
などがあげられます。
ところで、現代の私たちは重ね着はしませんが、重ね衿(比翼衿も)はその重ね着の名残というわけです。わかりやすい例がお雛様。
十二単。
十二とありますが、実は8枚ほどだそうです。総重量が15kg!重いです・・・
令和元年の即位礼正殿の儀ではお雛様が大勢いるようで見ごたえがありましね!
それにしても、なぜ平安時代はこんなにも重ね着をしていたのか・・・寝殿造りのお屋敷は吹きっさらしで、それはそれは寒かったそうです。ほぼ外と変わりないですものね。
さてさて、重ね衿の付け方に参りましょう!
準備するもの
- 振袖
- 重ね衿(伊達衿)
- ソーイングセット
もし、お裁縫が得意でなかったらピンか半衿用両面テープをご用意くださいね。
左上から重ね衿用のピン、ヘアピン、安全ピン。いずれかを3本。
重ね衿を付ける
縫い付ける方からお伝えします。
重ね衿を縫い付ける
1.着物の裏を上に広衿を折り、背中心と重ね衿の中心線を合わせる。★は衿肩あき。
2.重ね衿をそのまま広衿に5㎜上にずらして乗せる。
3.背中心、衿肩あきにマチ針を打つ。打つのは重ね衿と広衿の上側の二枚だけ。
4.図のようにマチ針を打った3か所を縫う。
重ね衿をピンでつける
ピンでつける場合、背中心にスナップボタンがあるので、それを避けて留めます。
重ね衿用ピン
1.背中心寄りのピン1本を広衿裏に、他の2本を手前にして挟む。●はホックの位置。左利きの方は逆になる。
2.ピン全体を斜めにして真ん中のピンを押さえる。
3.背中心から一番遠いピンを広衿裏に持って行く。
4.ピン全体を立てる。
5.ぐいっと押し込む。
6.広衿裏は2本のピン。
7.衿肩あき2カ所も同様につけたところ。ホックを閉じて完成!
ヘアピン
急場しのぎにヘアピンも使えます。ピン先の突起が表生地になるべく影響しないようなものにします。
付ける場所は重ね衿用と同じです。
安全ピン
表側でも裏側に付けても可。着た時に表生地に影響の出ない方にします。薄手の生地は要注意。その様な時は縫いましょうね!
で、なければ・・・
半衿用両面テープ
背中心から衿肩あきまで貼ります。重ね衿がヨレてしまうときは広衿の輪の方にも短く付けます。
いかがでしたか?
上手く着けられましたでしょうか?その場その場で使い分けてもOKですよ。
ちなみにまい吉は着付け技能士試験では縫い付けていきました。普段は付けずに着せ付けています。以前は振袖にクリップで挟んでいましたが、最近は襦袢に重ね衿を置いてクリップしてから振袖を着せています。その方が重ね衿が振袖の衿から出てこないので自分としては着せやすいです。
自分でフォーマルを着る時は必ず重ね衿は前もって付けています。