身八口・・・。
そこにあるのが当たり前過ぎて「何のためにあるのか。」全く意識していませんでした。
きもの学院で教えてくれたかしら?
NO!でした。
色々な説がありますからね^^
インバウンドの着物体験で襦袢や長着を着せる時に手を通すところを誘導してあげないと、
ほとんど手が別の出口から出て来ます。
「穴いっぱいあるからね。」と。
ま、それも楽しい体験のひとつです。
そのような中、たまに聞かれることがあります。
「(横に開いている)このスリットは何ですか?」
身八口のことです。
答えに少々困りました。
理由をいろいろ考えてみました。
考察
1.授乳のために開いている
2.着やすくするため
3.着崩れてもお直ししやすい
4.通気口
答えは?
着付け、和裁の観点から見て1.以外が正解と言えると思います。
和裁の先生やベテラン生徒さんに聞いたところ、1.は「無理!」と一蹴されました(笑)
事実、身八口(当時は”脇開け”)ができたのは江戸中期です。
袖丈が長くなった。
帯の幅が広くなり、長さも長くなった。
帯を胸高に締めるようになった。
からだそうです。
それまでは男性着物と同様に脇から振りまですべて縫われていたそうです。
広幅の帯では脇を開けて袖付けもずらさないと着づらいのは想像できますね。
て言うか、格好悪いです。
紐やベルトを通した方がしっかり衿合わせできます。身八口があればこその着付けです。
まとめ
身八口は着物を着やすく、また着た時に腕を動かしやすくするための「穴」です。
また上半身の汗や熱気が籠らないための通気口でもあります。
These are “miyatsuguchi” openings.
Thanks to the them, you can wear kimono easily and move your arms freely.
As another role, they are vent holes for keeping the sweat and heat of the upper body away.
インバウンドの着物体験ではこのような感じで説明すればよいかと。
“a side opening” か “a side hole” でもいいでしょうか。
最終的には”身八口”と覚えてほしいですね。
その他の変化
江戸中期の着物のその他の変化としては、
→ 身幅が狭くなり、身丈も長くなった。
→ 裾を引くようになった。
→ 外出時には紐で裾を持ち上げて”はしょる”ようになった。
そうです。
名前の由来
身八口という名前の由来は女性長着に「衿」「裾」「左右の袖口と振り」「左右の脇の開き口」の計8か所が開いてるからだそうです。
ん?
新たな謎が・・・!
と言うことは、「脇開け」と呼ばれていた脇の部分だけ”身八口”と呼ばれるようになったのでしょうか。
身頃に開いているから「身八口」?
袖の振りの開きは「振り八口」と言うそうです。
”八つある口の身頃にあるもの”
”八つある口の振りにあるもの”
なんでしょうね、きっと。
答えが分かったらお知らせします!
参考文献:江戸衣装図鑑 菊池ひと美著 東京堂出版
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