きもの宝典。ーきものの花咲くころ再び
大正から平成の休刊までの着物についての記事をセレクトしてまとめたものです。我が家の永久保存版になりました。
内容は・・・
女優の着物、令嬢の着物。
着物の流行。着付けの変遷。
昔からあった便利グッズ。
曽おばあちゃんやおばあちゃん、そして母がどのように着ていたのかを知ることができます。
とにかく面白い!
そして、私がずっと知りたかったこと、
なぜ、日本人は着物を着なくなったのか。
なぜ、着物が日常着ではなくなったのか。
知らなかった着物の現代史がわかります。
こちらがその本です。
左は2006年に出版されたもの、右は2016年に再販されたものです。
女優さんが素敵!
往年の女優さん、素敵です。
岸田今日子さんと岡田茉利子さん。
今までとは違う印象を抱きました。
キュート、でもカッコいい!女っぷりが良い、でも凛とした何かを持っている。
そして、北林谷栄さん。おばあちゃんのイメージしかなかったけど、とにかくカッコいい。(着物とはあまり関係ないかもしれないけど)
彼女たちの若い時はリアルタイムに存じ上げないのですが、現在の女優さんたちとは違った雰囲気がありますよね。
きものスタイルの変遷も!
戦前である大正から昭和初期のスタイルはアンティーク着物女子には心ときめくものではないでしょうか。
モダンで大胆な柄。
柄半衿は当たり前、そしてたっぷりと出す!
髪型は耳隠し!
今よりもずっと洋風に着こなしていたとか・・・?
戦後復興期は洋服の時代に突入。
着物の合理的ではない部分をなくし、如何に着るべきかが問題となったそう。
面白いことに、コンパクトなヘアに詰め衿、腰高帯にスレンダーな着付けです。
この頃(’54)茶羽織というショート丈の羽織が流行り始めたようです。床に座ったときに邪魔にならない丈だそうです。
リサイクルショップで千円均一とかで売られているあれですね。
戦後高度成長期以降、”着物は奥様の盛装”の時代に!
着付けは裾窄まりのタイトシルエットにファーショール。
紙面では流行を扱うのではなく季節の装いを特集するようになったとか。
だんだんと今みたいになってきましたね。
訪問着・附下が台頭し、とうとう毛皮や宝石と共に呉服が高級品の代名詞に!そして月賦払いが普通となるのでした。あらら。
’70年代には黒の絵羽羽織が流行りましたね。略礼装扱いで便利なアイテムとして大ブームになったようです。
50代の皆さんは卒園式や入学式での紋付き黒絵羽の羽織を着たお母様とのお写真をお持ちではないでしょうか。はい、もれなく我が家にもございます。
まだ他にも「へぇ~」やら「なつかしい」やらでかなり楽しめる記事があります。
着物や小物、着付け今昔も!
きものはファッション。世相を映して変化してきたもの。なのに今ある決まり事が昔からあるように思われている。そしてそれが、きものを遠ざけてもいるようだ。・・・
こちらは編著者の言葉です。
そうなのよ、そのせいで堅苦しいものにしちゃってるのよ。かつて生徒さんにもそのことを伝えたところ、「すごく楽になった。」と言ってました。
目次を見ると「へぇ~」がたくさんあります。
詳しい内容はぜひ、本書を手に取って読んでください。
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歴史の中で特別になってしまった着物
私たちは、いつ、きもの中心の衣生活と決別し、いつ、きものを特別な目で見るようになったのだろう。・・・そのきっかけは?「主婦之友」の、そこここに驚きの答えがひそんでいた。
編著者と同様に私もずっと知りたかったことです。
簡単に言ってしまえば、着物は行動を制限する衣服だということです。
思えば平和な江戸時代に形成された様式を受け継いでいるわけですし、当時は女性もあまり外に向かうことの少ない時代でした。
大正辺りから女性の高学歴化や働く婦人が増え、女性が外へ出て行動する時代になったことで、行動を制限する(あまり言いたくないけど)着物から離れ、活発に行動できる洋服を選ぶことが多くなったようです。
そして、関東大震災、太平洋戦争などで逃げるのに不便だったこと。
「避難するのに長い袂や裾が引っかかり、しかも火が燃え移りやすかったので、大変な被害をもたらす原因の一つになった。」と言われています。また、戦争末期や戦後には着物を日々の食料に変えねばならかったことも一因だそうです。
その後、高度成長期で人々の暮らしに余裕が出てきてからは少し盛り返したようですが、既に日常着ではなくなり、礼装着や高級品となってしまいました。
日常着として着ていると、「何で着物?」と聞かれることがあります。ちょっと寂しいですよね。
でも、確かに先の震災後に、「着物で外出中に今ここで大地震が来たらどうしよう。」と思ったことはあります。
とは言え、着物が好きですからこれからも着ますよー!
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現在、新品は手に入りにくいようです。中古でも見つかりにくかったですが、もしかしてフリマサイトにあるかも?と思いました。
検索したらありました。それでも旧版が1冊だけでした。
まい吉としては、できれば本誌である「主婦之友」の誌面を見たいですね。機会があったら、神保町辺りの古本屋さんでバックナンバーを探してみたいと思います。