着付けを習った。ひとりで着られるようになった。
ちょっと興味が湧いてきて、誰かに着せてみたくなった。他装も習い、お免状ももらった。
着物がもっと大好きになり、いつも着物のことだけを考えていたい。
「何かに活かせたらいいな。」
多くの方がそう思うと思います。
そこで、着付けの技術を活かして何ができるのか考えてみました。
着付けを活かせる職業は?
- 着付け講師
- 着付け師
- 呉服店販売員
- 着物スタイリスト
大まかに考えて以上のように思います。まだあったら教えてくださいね。
では、一つ一つみていきましょう。
着付け講師
着物がきれいに着ることができればなれるでしょう。
日常的に着て出かけて近所で評判になり、「ちょっと教えてくれない?」から始まり、口コミで評判が広がり、着付け教室を始めたというパターンもありと言えばありでしょう。
しかし、それはまれだと思います。
極々一般的なのは、どこかのきもの学院や学院と提携しているお教室でお稽古を始めます。
まずは、学院独自の着付け小物を使用した自装から始まり、独自の物を使わない着付け、他装と続きます。それぞれに筆記試験と実技試験があります。最終的に講師になれるコースを修了し試験に合格し、認定式で講師のお免状と看板を頂きます。
はい、これで着付け講師になれます。
学院所属の講師になるか、自宅で着付け教室を開きます。また、学院所属の講師でも自宅でお稽古します。出張お稽古と言って生徒さんの自宅でもお稽古します。
その他、カルチャースクールと言うのもありますね。また、着付けサークルを作って公民館などで教えることもあります。呉服店が開く着付け教室の講師もあります。
Youyuber講師もいらっしゃいますね。
講師にとって一番の醍醐味は、着物のきの字も知らなかった生徒さんが上手に着られるようになることです。生徒さんの成長はやっぱりうれしいものです。
さて次は、皆さんが気になるところでしょう。
「着付け講師だけで生計は立てられるのか?」ですが、はっきり言って無理です。
私は学院での講師しか経験がありませんが、無理です。副業が必要です。
(他は知りませんがほぼ同じではないかと思います。)
支出に見合うほどの収入は得られません。パーティーやイベントの出費、着物のローンは当たり前です。
着物に関しては、講師なので「生徒さんと同じレベルのものは着れないわ。」という意識を持つようになります。そして新しく購入・・・それは一種洗脳のようなものだったかもしれません(笑)
以前、和裁の先生が言っていました。
「着付け講師で女手一つで二人の子を育て上げた人がいる。」と。
たぶんそれは昭和の高度成長期あたりの話かもしれませんね。
着付け師
着付け師とひと言で言ってもジャンルは様々です。
ブライダル系、舞台、映画、TV局、ファッションショーなどのエンタメ系、葬儀場の着付け、ヘアスタイリスト兼着付け師、日本文化の体験講師、着物レンタルショップ着付けスタッフと様々です。もちろん、兼ねている人も多いでしょう。
また、お店や式場に属する人、フリーランス、季節ごとの委託等々就業形態も様々です。
「どうすればなれるの?」ですが、専門学校を卒業して就職したり、きもの学院の紹介、直接サロンに行って売り込む、着付け師に師事する、誰かの紹介、SNSで有名になって仕事が来る、直接ネットのHPで見つける、ハローワークを通して応募する、バイト探しはなんとかかんとかで応募する、くらしのなんとかに掲載する、などでしょうか。
お教室を開いていると、他装の着付けを頼まれることもよくあります。
フリーランスの場合、ひとりでヘアも着付けもできるか、ヘアスタイリストと組んで仕事をする方が有利です。
着物レンタル店のバイトとは?
まい吉の経験談です。(*個人的意見によります。)
着物レンタル店は意欲さえあれば未経験でも採用されるので、比較的就業しやすい仕事でしょう。
店舗の場所によって客層が違います。浅草では外国人旅行者が非常に多く来店するので、英語又は中国語が得意な方は採用されやすいです。実際募集しています。団体も良く来ます。
レギュラースタッフの場合、ヘアセットと着付けができると時給も上がっていきます。繁忙期は登録制の委託業務もあります。
忙しい時は休憩なし、あっても15分とかです。それでもあれば良い方です。逆に暇な時は本当に暇で、チラシ配りや洗濯などのメンテナンスをします。
職場の雰囲気はどうでしょう?その時のメンバーによります。
技術を習得できる場かどうかですが、インプットの場ではなく、どちらかと言うとアウトプットの場です。
まい吉がバイトをしていた店舗は基本料金は安くても「多くのオプションを付けて客一人の単価を上げ、早い着付け」を要求されます。補整をしっかりして丁寧な着付けを目指す方には、少々フラストレーションを感じるかと思います。
短期でするバイトには良いと思います。
呉服店販売員
老舗の呉服店、問屋さん、おしゃれな着物ショップ、リサイクル着物ショップなどなど多々あります。未経験者歓迎で着物のあれこれを学ぶには良い環境ではないでしょうか。自分の趣味に合った着物ショップが良いですね。
しかし、ノルマがありますよね。これだけ売り上げなさい!と。そこが厳しいかな?
着付け講師も同じですが、キモノホリックになって借金地獄に陥らないように気を付けましょう!
誠実で親身に相談にのってくれる販売員のいるお店は自然と足が向きます。あと知識豊富な店員さんがいるお店。センスが良く、好みが同じ店員さんがいるお店。そのようなお店には行きたくなります。
たまに耳にする「囲み販売」だけは勘弁して欲しいです。
着物販売店でお教室を運営したり、写真館を併設しているところもあります。レンタルを始めるお店も増えてきました。
着物を販売してるのに着物を着ていない店員さんがいるお店はどうなのかな?と思います。買い手としては、店員さんにはぜひ着物を着て頂き、ハウスマヌカン(古い?)して欲しいです。それだけで売上は上がるでしょう。
お店で何年か修行して、経営のノウハウが分かったら、自分のお店を持つのもいいですね。継続するのはなかなか大変ですが、セレクトショップは憧れます。
着物スタイリスト
着物スタイリストって何でしょう?
私の考えでは・・・
着物に特化したスタイリスト。ショーやドラマなどで演者のために着物をコーディネイトする人。演歌歌手などの専属になり衣装をコーディネイトする人。着物ファッション雑誌のコーディネイトをする人。自分のきものスタイルを前面に出し、着物の普及活動をする人。
・・・なのかなと思います。
中にはお教室を持って着付けを教えたり、独自ブランドを立ち上げたり、著書を出版する人もいますね。最近ではYoutuberやInstagramで有名になる人も!インフルエンサーですか。
着物好きには憧れの職業ではないでしょうか。
このようにみていくと、一つのジャンルのみならず複数を兼ねています。
ここから自分の興味があるクリエイティブな専門分野に進む方もいます。
例えば染色作家やデザイナーなど。小物が好きな方は組紐とか。そう、和裁士も!
現在では伝統工芸系の職業は全体的にそれだけで暮らしていくのは難しいです。でも、無くなってしまうと困るし、そうならないようにしていく必要がありますね。
まい吉の場合
私の人生において、現在は第三次着物ブームです。
第一次はハクビ時代。
帯結びの楽しさを知りました。師範まで目指そうと思いましたが、途中出産で中断となりました。
第二次は家計に余裕があったバブりー時代。
幼稚園、小・中学校などの卒入園に着て行きました。この頃、寂しいことに着てる人は私を含め一人か二人でした。
そして、第三次は日本文化に目覚めた時代。
インバウンドのボランティアガイドでお茶室にご案内することが多々あり、お点前を英語で説明しながらされていました。
それにあこがれたわけです。
通訳ガイド団体で英語で茶道を行う国際茶道塾がありそこで茶道を始めました。
着物の講習もあったので受けました。そこで第三次着物ブーム勃発!
すでに着付け体験の仕事も始めており、他装の技術を高めたいと某きもの学院で他装だけを習うつもりが、何と講師になり2年半勤めました。
その後インバウンドに戻り、日本文化体験講師(通訳案内士)として現在に至ります。
只今、将来を考えてどのように展開していこうか模索中です。